プロパンガスの適正価格を考える⑨

【結局、適正料金って何なのか?】
プロパンガス事業者と一般消費者の間には、大きな情報格差が生じています。経済用語では情報の非対称性と言いますが、この状態は、正にレモン市場を生じさせる土壌です。不公正なガス料金を粗悪品と定義づけるなら、既にまがい物が氾濫しています。
国も表面的には問題解決を求めていますが、ガス料金の完全公開を求めていない点で全く当てになりません。本気であるならば、宮澤前経産大臣が発言したように「国が示す標準価格」を指定した方が手っ取り早いのです。「各プロパンガス事業者の標準価格」公開では、中途半端なガス抜きに過ぎず、本質が何も変わらないことは目に見えています。
では、何か良い方法はないのか?
それは、一般消費者が学び、声を上げることです。
ガス料金の非公開や標準価格公開のプロパンガス事業者からのプロパンガス購入を止め、高額なガス料金には、返還訴訟を起こすことです。標準価格から5割も高いガス料金など公序良俗違反のなにものでもありません。プロパンガス事業者が痛い思いをしないと変わらないなら、痛い思いをさせればよいのです。
日本の一般消費者は、とても優しい消費者です。それが美徳でもあります。しかし、それを感謝するどころか既得権益と勘違いし、搾取し続けるプロパンガス事業者は、悪質業者と何ら変わりがありません。
賃貸住宅のガス使用者にガス事業者選択権が無いことを悪用して、大家への過剰サービスのツケを賃貸入居者にガス料金名目で支払わせることは、実質賃料の二重請求に他ありません。まるで消費者の無知につけ込む貧困ビジネスです。
優しい一般消費者がよく口にする「長い付き合い」とは、問題なく取引できた安心の歴史である反面、高額なガス料金を詐取され続けたぼったくりの歴史でもあるのです。
プロパンガス事業者自身が十分分かっていることでしょうが、現在のガス料金のあり方は、一般消費者を置き去りにした歪んだものとなってしまっています。

プロパンガスの適正価格とは、お客様それぞれが喜んで支払いたい若しくは許容できる「満足価格」の事です。
満足を得るには、自らの基準を持たなければなりません。統計数字が何を表すのか。何が本当で、何が嘘なのか。取引するプロパンガス事業者がどの様なスタンスで従事しているのか。その目でしっかりと判断して下さい。
ガス料金。機器の価格。サービス対応。緊急対応。総合評価。☆幾つ付けますか?

オール電化や都市ガスの方も、他人事と考えず、身近な問題として受け止めて欲しいと思います。プロパンガスは競合燃料であり、他燃料の方も利益に繋がるかも知れませんよ。

プロパンガスの販売環境が改善され、プロパンガス離れが少しでも減ることを願っています。
拙い文章を最後までお読み頂きました方々に感謝。

平成28年6月1日
有限会社ジーエス 山田康行

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プロパンガスの適正価格を考える⑧

【プロパンガスの近況、安ければ良いのか?】
プロパンガスは、薪や練炭の代替燃料として発展してきました。現在は、家庭用燃料として薪や練炭は姿を消し、競合対象が電気、都市ガス、灯油に変化しました。
住宅の気密性向上により、薪や練炭では中毒事故の危険性が高まったため、より安全で便利なプロパンガスの普及を優先して、ガス料金など販売価格や無償貸与などの顧客差別を無視してきました。
プロパンガスの通常の販売方法が、ガスボンベ1本単位であった質量販売からガスメーターを経由した体積販売に変化した高度成長期に、差別価格を規制する条文を入れるべきだったのです。結果的に行政のガス料金を規制する法的根拠が存在しないため、高額なプロパンガス料金を取り締まる方法がないのです。
この様な経緯から、プロパンガス販売は、公共性の高い商売でありながら、何らも料金規制を受けることなく普及しました。
平成9年の法改正でプロパンガス販売の新規参入が緩和されると、自社の通常価格を大幅に下回る客寄せ価格が氾濫し、契約後にガス料金価格が値上がりするとの悪質行為が横行しました。この問題は、今では更に悪質化し、何が本当であるのか混乱を来している状態で、嫌気がさした一般消費者のプロパンガス離れが進んでいます。
無償配管なるプロパンガス販売独自の商習慣がエスカレートし、一挙に多数の顧客を獲得できる集合住宅への投資合戦が大手プロパンガス事業者を中心に勃発しました。
建築会社や不動産オーナーから要求される儘に多額の金銭や際限のない商品提供が行われ、その投資回収のため、高額なガス料金設定をするプロパンガス事業者が跋扈している状況です。
プロパンガス事業者によってその様な高額な投資がなされた集合住宅のガス料金は、2,000円以上の基本料金から始まり、従量単価1㎥=800円を超える物件まで存在します。当然、一度でもその様なプロパンガス供給の集合住宅に住んだ一般消費者は、マイホーム建築の際、家庭用エネルギーからプロパンガスを除外して益々プロパンガス離れが進む結果となっています。

では、低価格だけが正義かと言えば、実はそうではありません。ガス供給に問題が生じた場合、零細のプロパンガス事業者が最も早く対応できます。特に夜間や休日の場合、大手プロパンガス事業者は、5,000~15,000世帯に対し1人で対応しますが、零細プロパンガス事業者は、そもそも300~500件しか顧客を有さないので、物理的対応数に余裕があります。
1から10まで自身でやっていますから、現場経験値も豊富です。勿論、サボろうと思えば幾らでもサボれるので、ダメなプロパンガス事業者は、とことんダメなのですが・・・。
何にも増して、少ない顧客であるが故に顧客1人への思い入れが強いため、責任感が全く違います。毎日が仕事のようなものですから、業務時間に余裕があり、顧客とも濃密な人間関係を築き易く、殆どの顧客が顔見知りです。割高と言われる零細プロパンガス事業者ですが、安心感は圧倒的に高いと言えます。
また、副業でお米を販売したり、ガソリンスタンドを経営しているプロパンガス事業者も多いため、プロパンガスとセットで割引を受けられたりもします。

ガス料金の問題も全てのプロパンガス事業者がガス料金を完全公開した場合、少なからずガス料金格差は改善します。
なぜなら、現在ガス料金公開をしているプロパンガス事業者は、従量単価1㎥=400円前後が主流です。仮に従量単価1㎥=600円で販売しているプロパンガス事業者も、ガス料金公開をする以上、従量単価1㎥=400円に引っ張られる形で、値下げした上でガス料金公開をする事が予測されているからです。
零細のプロパンガス事業者は、顧客と濃密な人間関係を築いているが故に顧客のクレームが精神的にとてもキツイからです。集団の中で生き抜くサラリーマンの様に馬耳東風の技術を持っていないのです。
ガス料金の完全公開を義務づけてしまえば、ガス料金格差は、ある程度解決してしまいます。

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プロパンガスの適正価格を考える⑦

【中途半端なガス料金公開、標準価格の意義】
プロパンガスの価格公開が前向きに議論され、価格公開するプロパンガス事業者が増えつつあります。しかし、このガス料金公開には2種類の大きな違いが存在します。
意外な事かも知れませんが、経済産業省の役人さんは、プロパンガスの価格公開に後ろ向きです。プロパンガス2,000万世帯に対する人員が、本省担当者でたったの2人です。当然、余計な仕事を増やす余裕はありません。プロパンガス行政の基本は、安全・保安であって価格ではないことも関係します。そもそも価格を規制する法的根拠が無いのです。
プロパンガス料金公開の発端は、国会の参議員経済産業委員会で当時の宮沢洋一経産大臣が、役人の想定問答を無視してプロパンガスのガス料金トラブルを改善させるための踏み込んだ発言をした英断がきっかけです。それまで、自由競争を理由にのらりくらりと躱していましたが避けられなくなった訳です。しかし、経産省側の本質は変わりませんから、料金公開という部分だけ一人歩きさせて「完全公開」ではなく「標準価格」でグレーゾーンを残そうとしているのです。別に悪意ではなく、ハードルの高い「完全公開」より、お茶を濁した「標準価格」の方が賛同者を得られ安く、事案の処理が早く済むからです。標準価格から逸脱した料金設定はしない筈との道徳観を元にしていますが、そうならないことは現状を見れば明白でしょう。料金規制に行政の法的権限がないことも足枷になっています。

大別すると①ガス料金を完全に公開するプロパンガス事業者、②標準料金を設定して実際のガス料金を秘匿しているプロパンガス事業者、となります。どちらもガス料金公開を行っているプロパンガス事業者として、経済産業省に調査・分類されています。
一目瞭然ですが、この2種類は、同じガス料金公開でも、性質や企業姿勢が全く異なります。①は一般消費者に販売するプロパンガス料金を完全に公開している訳ですから100%の透明性を確保した事業者と言えますが、②はガス料金公開とは名ばかりで、内実は閉鎖的隠蔽体質を維持します。
②の事業者にとってガス料金公開は、他社が行っているから仕方無くガス料金公開するか、自社の営業目的に公平・公正を装う悪質事業者かのどちらかです。客寄せ価格や根拠の無い割高な価格を改善しないまま差別価格を維持するのは自明の理でしょう。一般消費者の利益など一切考えていないと言っても過言ではないのです。

ただ、全く意義がないかと言えばそうでもなく、標準価格を設定することは、今まで証明が困難であった基準を設けることであり、言わば定価(メーカー希望小売価格)を設定したことになります。これはとても意義のあることで、仮にこの標準価格を上回る価格で販売されている顧客が居る場合、その顧客は、過払い金として既払いガス料金の返還を求めることが可能だからです。過払い金返還の時効は10年ですから、従量単価1㎥=200円も差があれば1件あたり40万円以上と大変な金額になります。
今は、一般消費者が理解していないために騒ぎになっていないだけで、気づいた誰かが騒ぎ出せば、消費者金融業界で起こった所謂「過払い金返還訴訟」が頻発することになりかねません。金融業者と違い届け出事業であるプロパンガス業界に引当準備金を求められることはないでしょうが、徹底的に高値販売が排除されることになります。
また、仮に保有する簡易ガス事業が標準価格より上回っていれば、住民からの値下げ請求を拒絶出来ないでしょう。
結果的に赤字販売する原資を失い客寄せ価格も出来なくなるため、自らが設定した標準価格に平準化していくものと思われます。即ち、標準価格の設定とは、上限価格を設定したに等しいのです。
しかも、②の事業者は、中堅以上の大手事業者に多い傾向があり、他社との競争上高めのガス料金を標準価格とすることはできません。従量単価1㎥=390円以下の価格レンジに落ち着くものと考えられます。

しかし、所詮はお茶を濁した対応なので、悪意を持って対応すれば、プロパンガス料金の問題改善は全く進みません。ガス料金が非公開の事業者と標準価格を公開した事業者とで本質的に何ら変わりが無く、差別化が出来ないからです。
どのガス料金レベルを標準価格とするかは、プロパンガス事業者の自由ですから、業務用・産業用を含めた平均を平均価格と称したり、全く販売実態とかけ離れた価格を標準価格とすることも可能です。差別価格や賃貸住宅居住者へのぼったくりとも言える高額のガス料金も維持されることでしょう。
ガス料金の標準価格公開には、一定の意義はあるもののプロパンガス業界の改善という意味では、全く意味がないものです。

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プロパンガスの適正価格を考える⑥

【ガス料金公開の必要性、一般消費者の自己責任】
ガス料金の透明性を求められていますが、そもそもガス料金公開の必要性とは何でしょうか?
ガス料金公開のメリットは、実は、本質的にはありません。現実的なツールとしての価値が、ガス料金公開にあるだけです。
即ち、ガス料金の公開が無くとも、公正・公平なガス料金が設定されていれば、一般消費者の利益は確保出来るのです。ですから、宮澤前経産大臣が国会で述べた様に、政府がプロパンガス料金の「標準価格設定」を行った方が実質的には有効です。
しかし、自由経済としての自由を制限する事にも繋がるため、間接的に悪質なプロパンガス事業者を市場から閉め出す方法・ツールとして国はガス料金公開を要請しているのです。

一般消費者にとってプロパンガス料金の公開は、ぼったくりの如き高値のプロパンガス購入を回避する機会を得ます。
プロパンガス事業者にとっては、採算ラインを大きく割り込んだ「客寄せガス料金」を詳らかにし、差別価格による不公正な競争を防止して、営業努力が報われる公正な競争環境を作出できます。
ガス料金公開は、常識的な一般消費者と善良なプロパンガス事業者にとって、実は、利害が一致しているのです。
この本質を理解していないプロパンガス事業者が多いため、単に商売がやり難くなると誤解して、ガス料金公開が進まないのです。
結果的に善良なプロパンガス事業者が二の足を踏み、売り込み目的のプロパンガス事業者が先行する傾向となっています。ですから、2016年4月現在、プロパンガス料金を公開している一部のプロパンガス事業者のホームページでは、自社のガス料金の情報発信と言うより、「他社よりウチはガス料金が安いよ」や「こんなにガス料金が安くなるよ」などの営業目的の表記が目立ちます。ガス料金公開が少数派であるが故に、営業ツールとしての期待値が高いためです。
現状でこそプロパンガス料金の公開は特異な少数派ですが、本質は単なる情報公開に過ぎません。今後、ガス料金公開が進んでいけば、ガス料金の公開は当然のことで何ら特別なことではなくなっていきますから、情報の非対称性の改善を目的とする発信に変化していくでしょう。

その上で、一般消費者は、自らの選択に責任を持たなくてはいけなくなります。
公正な競争によってプロパンガス料金が低下していくと言うことは、結果的に高い利益率に依存していたプロパンガス事業者が淘汰され、現在のような濃密な人間関係のプロパンガス事業者は減少していきます。「全部任せているから」などの丸投げの様な対応は出来なくなっていきます。
ホームセンターやインターネットで商品を選ぶように、自らの選択に責任を負わなければなりません。契約弱者の扱いは卒業するのです。
ガス機器が壊れても「ガス買ってるんだからタダにしろ」など乱暴な取引も減っていくでしょうね。
安値だけを追い求めて、悪質なプロパンガス事業者と取引してしまっても、その責任は、そのプロパンガス事業者を選んだ一般消費者が負います。
事業者数が減り、薄利の競争環境となれば企業間のアライアンスが増えるでしょう。プロパンガス販売に供給責任は無いため、悪質業者からの乗り換えだと、防衛的アライアンス先であったりトラブルを嫌って新規取引を断る事業者も増えるでしょう。プロパンガス事業者の減少は、ガス料金の低価格化が進む反面、一般消費者の誤った選択を回復する手段も減るのです。
一般消費者が、見せ掛けではなく本質を見抜く目を養っていかなければなりません

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プロパンガスの適正価格を考える⑤

【実売価格、他社ガス料金の値取り調査】
平均価格や他燃料の価格決定方法が分かってきたところで、実際の販売価格を検証してみたいと思います。
弊社では、一般消費者にご協力を求め、他社ガス検針票に基づくガス料金の情報提供をお願いしています。その値取り調査結果を何ら弊社が手を加えることなく、サンプル料金として公開しています。
少しずつ蓄積したデータを比較すると、プロパンガス販売の不公正感が如実に表れるようになりました。
プロパンガス業界では、顧客の他社乗り換えを否定的に捉える向きがあり、「悪質な勧誘にご注意!」とネガティブキャンペーンを長く続けてきました。
その結果だと思いますが、弊社がガス料金の情報提供をお願いしても長期契約者ほど断られます。結果的に他社に乗り換えたばかりの方など、交渉上手な方のご協力に偏ってしまう傾向があります。実際、値取り調査結果にかなりの割合で最低値より安いガス料金が確認されていますが、石油情報センターの調査結果に反映されていない事が、偏りを裏付けてしまっています。

安値の情報に注目すると、そのプロパンガス事業者の他の顧客との価格差は驚くものです。
一般消費者が、同じプロパンガス事業者から購入しているのに自分より安い価格でプロパンガスが販売されている事実を知ったら、余り気分の良い話ではないでしょう。安い価格で購入している側は嬉しい限りですが、高い価格で売られている側は腹立たしいことこの上ない筈です。
勿論、価格だけではなく、そのプロパンガス事業者を応援する意味で、寧ろ高い価格で支払いたいとお考えのお客様もいらっしゃるでしょう。実際、弊社のアンケート調査では、15%の方がプロパンガスの適正価格を従量単価1㎥=400円以上と回答しています。
しかし、特別な条件も無く1.5倍以上の価格差が生じることは、流石におかしいと感じると思います。
都市ガスや簡易ガスを持つ若しくは決算連結会社に持つプロパンガス事業者であれば、その都市ガスや簡易ガスよりも安い価格で販売している事実は、総括原価方式による許認可料金に疑義を生じさせるものであり、即刻、許認可料金を値下げ申請すべき問題です。
導管方式である都市ガスや簡易ガスより、個別配送のプロパンガスの方が安価で販売できるのであれば、プロパンガスの高コストの理由は、明らかに崩れます。
都市ガスよりプロパンガスの方が安く売れるのであれば、多くの都市ガス世帯で都市ガスが不要になるでしょう。
特別な事情もなく、驚くべき安価でプロパンガスが販売されている事実は、そのプロパンガス事業者の標準価格として「驚くべき安価」を設定できると、一般消費者に誤解を与えるものです。少なくとも同一価格に値下げを求められても拒絶する理由は、そのプロパンガス事業者には無いと言えます。
商売に於いて、売値を明らかにしていない商品は多数存在します。
しかし、プロパンガスは車の購入などと違い毎月継続して購入する商品です。生活必需品で購入をコントロールし難い商品でもあります。公共性の高い分野で価格が秘匿されているのは稀なのです。
公平性を欠き交渉上手の顧客だけが特をする現状は改善すべきでしょう。

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プロパンガスの適正価格を考える④

【ネット上の適正価格って本当か?】
昨今、インターネット上にプロパンガスの料金診断や他社への乗り換え斡旋サイトが多数出来ました。「プロパンガス ガス料金」で検索すると検索上位の殆どはこれらの会社が独占します。広告欄にもガス会社ではなく、これら斡旋会社が掲載されます。
これらのサイトの特徴は、独自の適正価格を打ち出していながら、引き受けるプロパンガス事業者の会社名が公開されていないことです。
では、この適正価格は本当でしょうか?
どの斡旋サイトも①既存のプロパンガス事業者の非難、②プロパンガスは高い、③「乗り換えれば」安くなる、の3点を前面に押し出した掲載です。
しかし、比較対象となっているサイト独自の適正価格は、積算根拠が何処にも書かれていません。ただの1社もです。
適正価格を謳いながらその適正理由が全く掲載されていないのですから、これって本当?と感じてしまうと思います。
では、全くの嘘なのかと言えばその様な事はなく、掲載価格での販売実績は存在し、引き受けプロパンガス事業者は掲載価格で販売しています。
ただ、これが本当に適正価格かは別な問題です。
石油情報センターの偶数月調査には、最低値・最高値・平均値の記載が有りますが、斡旋サイトの適正価格に準ずる若しくは近い価格の掲載を全く確認出来ません。20,000社中3,000社の調査結果ですから、少なくとも数十社は、斡旋先のプロパンガス事業者が調査対象に入っているはずです。にも拘わらず、類似料金が確認出来ないということは、紹介先のプロパンガス事業者の「最多価格帯」ではない証左です。
斡旋先のプロパンガス事業者を事前に明らかに出来ないのも「通常価格」ではないことを裏付けます。
結局、これらのサイトの適正価格は、掲載サイトの斡旋価格であって「通常価格」ではないと言えます。飽くまで「特別価格」であって、適正価格とは全く趣旨を異にするものでしょう。
仮に「適正価格=通常価格」を否定したら、それこそ差別価格が常習化しているプロパンガス事業者と認めることになるので、とても「優良ガス会社を紹介」とは言えません。
公正なガス料金の比較サイトであれば、適正価格などと価格誘導はしません。価格.comさんで他の商品を価格検索した場合、販売価格の順位が一覧されるだけで、価格誘導されることはないですよね。

余談になりますが、飽くまで乗り換えが目的なので、価格の維持も不透明です。これらのサイトが出始めたのが10年くらい前だと思いますが、少なくとも数万人は、掲載の適正価格で斡旋を受けているはずです。しかし、石油情報センターの調査結果に表れず「最多価格帯」とならないのは、契約後に価格が変更されているためとしか考えられないでしょう。数万件と言えば、大手のプロパンガス事業者と変わらない事業規模ですから、斡旋を受けているプロパンガス事業者の「最多価格帯」にならない訳がないのです。
※例えば20㎥の場合、基本料金1,500円、従量単価270円~310円(各サイトによって異なる)とされていますが、310円:8,316円、300円:8,100円、290円:7,884円、280円:7,668円、270円:7,452円、と各数値を最低値で何れも確認出来ませんでした。2016年4月調査でこれらの数値を下回ったのは、湘南7,776円(基本料金1,600円、従量単価280円と推認。湘南地区の神奈川県LPガス協会員107事業者全てに確認するも存在を確認出来ず。)のみです。

誤解頂きたくないのは、これらの比較サイトを否定している訳ではありません。寧ろ顧客の流動性が高まることは、適度に緊張感を生み、プロパンガス販売の放漫経営を防ぎます。
売り込み営業を外部委託することは、他業種でも決して珍しいことではなく、何ら悪いことでもありません。
安い安いの大合唱も営業上仕方無いでしょう。弊社でも売り込み営業に行く時は、「お安くさせて頂きますので、是非お願いします!」と言いますから、人のことは言えません。

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プロパンガスの適正価格を考える③

【他燃料との比較、電気・都市ガスと比べて】
プロパンガスの競合燃料である電気や都市ガスは、どの様に価格が決まっているでのしょう?
電気は、2016年4月から家庭用電力が自由化されましたので、各社自由に電気料金を決定しています。勿論、基準となるのは、競争相手である主要電力10社です。J:COM 電力の様に「東京電力の価格から1%割引」など、そもそも原価計算を放棄している会社まで出てきました。
電力の価格決定方法は、東京電力のホームページにも記載が有りますが( http://www.tepco.co.jp/e-rates/individual/basic/system/index-j.html )、簡単に言うと、発電原料や運営費などの原価に配当などの利益を乗せた金額を有識者会議の意見を踏まえて決めています。
都市ガスは、もう少し明瞭に一般ガス供給約款(東京地区)に明記されています。東京ガスの場合、基準原料価格が82,470円/tの時、最も一般的な料金表B(20~80㎥)で基本料金1,026円、従量単価151.74円とされ、基準原料価格との差額が計算式により原料調整されています。LNG1t≒1,220㎥で計算されますから、LNG1㎥=67.6円の原料価格の時、従量単価1㎥=151.74円で販売されると言うことになります。約10%の熱量調整のコストを踏まえても利益率50%程で販売されていることになります。

具体的な数字で比較すると、
東京電力の従量電灯B・C第2段階料金1kwh=25円91銭は、プロパンガスの従量単価に換算すると、1㎥≒660円に相当します。2016年5月燃料費調整1kwh=-3.28円を反映させるとプロパン換算1㎥≒576円となります。
東京ガスの2016年5月検針分一般料金B表121.95円は、プロパンガスの従量単価に換算すると、1㎥≒248円に相当します。都市ガスは、毎月原料調整されていますので、電気の燃料費調整のようなものはありません。
この様に燃料を電力に置換する電気は、価格面でとても高価なエネルギーですが、インバーターやヒートポンプ効果により、省エネ設計がし易く、比較的安価で機器の消費効率を高めることが出来ます。例えば、給湯設備で比較すると、電気のエコキュート(ヒートポンプ)は、ガスのエコジョーズ(廃熱利用)より30~50%ほど熱効率が良いため、同量の湯量を作り出す為のエネルギー量は、ガスの約60%程度で済みます。ただ、実際の電気料金に換算してしまうと深夜帯料金を併用しても単価の高さを吸収できず、貯湯槽の未使用ロスも生じるため、都市ガスより2割程度高い支払いとなります。再エネ付加金1kwh=2.25円も踏まえると3割以上の価格差になります。(平氏28年3月以前の料金プランでは、深夜帯が1kwh=12.16円であるため、価格差は小さくなります。)

都市ガスとプロパンガスを比較するとどうでしょう?
成分や性質の違いはあれ、家庭用使用では、単に必要消費量(熱量)の違いしかありません。プロパンガス1㎥と都市ガス2.2㎥が同等との違いです。
東京ガスの2016年5月検針分一般料金B表121.95円は、プロパン換算1㎥≒248円に相当しますが、毎月の変動制ですから、原油価格下落前の2013年頃は、従量単価150円ほどでプロパン換算1㎥=300円くらいでした。
東京ガスの都市ガス価格は、プロパンの地域平均価格と比べると約半額ですが、都市ガスの供給原価をプロパンに当てはめた場合どうなるでしょう?
2016年5月サウジCP325㌦、4月TTS111.27円、4月フレート4,300円/t、石油石炭税1,860円/tですから、輸入原料価格となる88円/㎥に東京ガスの供給原価185円㎥を上乗せすると、従量単価1㎥=273円となります。
ただ、実際に東京ガスのプロパンガス子会社は、この価格帯で通常販売できていません。プロパンガスは、地域独占ではないため販売顧客が分散し、業務の効率性が大きく落ちます。人の手でガスボンベを運ぶため、導管供給より託送コストも高くなると言われています。東京ガスのプロパン子会社が、都市ガスと同様にガス料金やコスト内訳を公表してくれればもっと正確な比較が出来るのですが、なぜか非公開としているためこの辺りが検証の限界です。

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プロパンガスの適正価格を考える②

【平均価格、石油情報センターって何?】
プロパンガス事業者は、顧客とのガス料金トラブルが発生すると、よく石油情報センターの地域平均価格を引き合いに出します。
では、「石油情報センターの地域平均価格」って何でしょう?
消費者アンケート?、視聴率の様な消費者モニター調査?、内閣支持率の様な電話やインターネット調査?、様々なイメージを持つでしょうがどれも違います。
全国を268ブロックに分割して、全国のプロパンガス小売店から選ばれた3,000社を対象に2ヶ月に1度アンケート形式で調査したガス料金となります。実際のガス供給先ではなく、プロパンガス事業者の所在地でモニター反映されます。
プロパンガス事業者の自己申告ではありますが、5㎥、10㎥、20㎥、50㎥の各使用量帯の最多価格帯を集計しています。各都道府県で最低30社をモニタリングし、調査の偏りを防止しています。
最多価格帯と言うところがポイントで、特別価格などは調査対象ではありません。匿名調査ではないですが、モニター対象のプロパンガス販売事業者名は公表されませんから、故意に事実と異なる価格をプロパンガス事業者側が回答する理由もメリットもありません。
平均価格を引き上げるために故意に高いガス料金を回答していると邪推する向きもありますが、「最低30社をモニタリング」ですので、数社が協力しても平均価格の引き上げには繋がりません。モニター対象の平均価格ではないため多少のズレは生じますが、ほぼ正確な調査と言えます。

※石油情報センターとは、通産省や外務省などの政府機関の調査・研究受託機関である一般財団法人日本エネルギー経済研究所の附置機関です。国の外郭団体で旧通産省によって作られました。旧通産省、外務省の元役人さんが理事メンバーです。良い意味での天下り機関で、民間の利害に左右されない中立な立場で調査・研究を行っています。

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プロパンガスの適正価格を考える①

電力の小売り自由化が始まり、弊社を含めプロパンガス事業者も電気とガスのセット販売を手掛けるようになりました。
来年には、都市ガスの自由化も控え、益々プロパンガス価格の透明化の必要性が高まっています。
2016年5月27日に行われた茨城県高圧ガス保安協会総会(茨城県のプロパンガス事業者が会員となっている業界団体)では、立原協会長から自社(株式会社ミトレン、所在地:水戸市河和田4381-17 (協会長が社長を務めるプロパンガス会社))を含め、ガス料金の透明化に向けて協会員一丸となって社会の要請に応えていかなければならないとの強い決意表明がありました。
とかく不透明・不公正と揶揄されるプロパンガス業界も変わろうと努力し始めた様です。
そこで、今更な事ではありますが、そもそもプロパンガス料金の「適正料金」とは何ぞや?を考えていきたいと思います。
販売ガス料金は、プロパンガス事業者を選ぶ上で重要ですが、単純に現在価格との比較だけでは高い・安いを判断し難いことでしょう。また、単純に安いだけが、判断基準では無いと思います。プロパンガス事業者選択にお役に立て頂けたら幸いです。

目次
 プロパンガスの適正価格を考える① 前書き、目次
 プロパンガスの適正価格を考える② 平均価格、石油情報センターって何?
 プロパンガスの適正価格を考える③ 他燃料との比較、電気・都市ガスと比べて
 プロパンガスの適正価格を考える④ ネット上の適正価格って本当か?
 プロパンガスの適正価格を考える⑤ 実売価格、他社ガス料金の値取り調査
 プロパンガスの適正価格を考える⑥ ガス料金公開の必要性、一般消費者の自己責任
 プロパンガスの適正価格を考える⑦ 中途半端なガス料金公開、標準価格の意義
 プロパンガスの適正価格を考える⑧ 価格以外のサービス、安ければ良いのか?
 プロパンガスの適正価格を考える⑨ 結局、適正料金って何なのか?

本記事は、項目別に分けて掲載します。
弊社企業用フェイスブックに自動掲載される関係上、過去の内容が「長文で読み辛い」、「長過ぎて読む気が失せる」とのご指摘を反映させた形です。
ご興味のある箇所のみ抜粋してお読み頂ければ結構です。

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値取り調査後、最安値との出会い

料金公開のための値取り調査以後、最安値のプロパンガス供給に出会いました。
何と4.0㎥でたったの1,036円(消費税込み)です。
この事業者は、大手都市ガス系のプロパンガス会社さんですが、どの様な理由でこの様な値段なのでしょう?
親会社の都市ガス料金の平成28年1月計算で2,539円ですから、5分の3程です。
弊社の最多価格帯KD-1(4.0㎥=2,376円)と比べても約6割安で、弊社にはとても真似できない価格です。
一方で、3.3㎥で3,653円(消費税込み)の価格のお客様も確認されています。
これって何が違うのでしょうか??

プロパンのガス料金公開が強く求められる所以ですね。

2016.6.17 追記
平成28年5月検針分で、3.7㎥=651円(消費税込み)との更に安い価格に出会いました。
多数のプロパンガス事業者の仕入価格を下回る価格であり驚きました。
この価格帯は、弊社でも業務用(弊社投資無し)の500㎥以上で、且つ輸入価格100%連動でなければ出せない数字です。
凄いなぁ~と思う反面、完全な赤字供給に「何考えてるんだろう?」と感じた次第です。

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