都市ガス自由化の新料金って本当?

平成29年2月20日、大手プロパンガス会社の参入都市ガス料金報道がありました。新規参入料金は、東京ガスより標準家庭で3.6%安く、全てのオプションを契約すると最大3割安いとの報道です。
電気の小売り自由化は1割一寸が良いところでしたから、東京ガスより3割って凄いですね。
では、大手プロパン会社の都市ガス子会社のガス料金を東京ガスのガス料金と比較してみましょう。

一般的家庭の使用量で使用する料金表Bで比較すると、
東京ガスは、原料57,250円/tの時128.08円/㎥。即ち1㎥辺りの粗利が81.15円/㎥。
ニチガス(新日本瓦斯)は、原料29,230円/tの時145.69円/㎥。即ち1㎥辺りの粗利が121.73円/㎥。
(LNG換算の1t=1,220㎥に基づき計算しています。都市ガスは、プロパンガスで熱量調整しているため正確な数値ではありませんが、比較には大きな影響は有りません。)
あれあれ?現行では東京ガスより5割も必要利益が高いです。どうやって東京ガスより3割安くするのでしょうか?
東京ガスのガス料金は、平成29年3月一般Bで113.64円/㎥です。これより3割安くするには79.55円/㎥で販売しなくてはいけませんが、LNG約32.5/㎥の原料価格で47円/㎥しか粗利がありません。121.73円/㎥と比較すれば6割以上収益が減る計算です。本当に可能なの?と疑問に思ってしまいます。

プロパンガスは、同じガス会社でも、顧客(同じ供給条件)のガス料金が2倍以上も違うことの多い商品です。その事は、多くの批判を受けていますが、まさか差別価格前提で東京ガスエリアに新規参入するのでしょうか?
少なくとも大手プロパン会社の都市ガス子会社が、東京ガスエリアの新規参入料金と同じになることは無いでしょう。既存利益を6割も落として新規参入するとは到底思えないからです。
都市ガスの小売り自由化は、最悪の場合、プロパンガスと同じ様にお客様の顔色を見ながら個々にガス料金を設定するかも知れません。特別価格の乱発と取れるところからは取れるだけ取る、ぼったくり商法が横行する危険を孕んでいます。
勿論、ガス料金が不透明になることで、市場が混乱しなければ、行政も本気で業界の正常化を行わない現実もあります。
今後、少なくとも、都市ガス料金にも「格差」が大きくなっていくことは間違いないと思われます。

カテゴリー: お知らせ   パーマリンク

コメントは受け付けていません。