【ガス料金公開の必要性、一般消費者の自己責任】
ガス料金の透明性を求められていますが、そもそもガス料金公開の必要性とは何でしょうか?
ガス料金公開のメリットは、実は、本質的にはありません。現実的なツールとしての価値が、ガス料金公開にあるだけです。
即ち、ガス料金の公開が無くとも、公正・公平なガス料金が設定されていれば、一般消費者の利益は確保出来るのです。ですから、宮澤前経産大臣が国会で述べた様に、政府がプロパンガス料金の「標準価格設定」を行った方が実質的には有効です。
しかし、自由経済としての自由を制限する事にも繋がるため、間接的に悪質なプロパンガス事業者を市場から閉め出す方法・ツールとして国はガス料金公開を要請しているのです。
一般消費者にとってプロパンガス料金の公開は、ぼったくりの如き高値のプロパンガス購入を回避する機会を得ます。
プロパンガス事業者にとっては、採算ラインを大きく割り込んだ「客寄せガス料金」を詳らかにし、差別価格による不公正な競争を防止して、営業努力が報われる公正な競争環境を作出できます。
ガス料金公開は、常識的な一般消費者と善良なプロパンガス事業者にとって、実は、利害が一致しているのです。
この本質を理解していないプロパンガス事業者が多いため、単に商売がやり難くなると誤解して、ガス料金公開が進まないのです。
結果的に善良なプロパンガス事業者が二の足を踏み、売り込み目的のプロパンガス事業者が先行する傾向となっています。ですから、2016年4月現在、プロパンガス料金を公開している一部のプロパンガス事業者のホームページでは、自社のガス料金の情報発信と言うより、「他社よりウチはガス料金が安いよ」や「こんなにガス料金が安くなるよ」などの営業目的の表記が目立ちます。ガス料金公開が少数派であるが故に、営業ツールとしての期待値が高いためです。
現状でこそプロパンガス料金の公開は特異な少数派ですが、本質は単なる情報公開に過ぎません。今後、ガス料金公開が進んでいけば、ガス料金の公開は当然のことで何ら特別なことではなくなっていきますから、情報の非対称性の改善を目的とする発信に変化していくでしょう。
その上で、一般消費者は、自らの選択に責任を持たなくてはいけなくなります。
公正な競争によってプロパンガス料金が低下していくと言うことは、結果的に高い利益率に依存していたプロパンガス事業者が淘汰され、現在のような濃密な人間関係のプロパンガス事業者は減少していきます。「全部任せているから」などの丸投げの様な対応は出来なくなっていきます。
ホームセンターやインターネットで商品を選ぶように、自らの選択に責任を負わなければなりません。契約弱者の扱いは卒業するのです。
ガス機器が壊れても「ガス買ってるんだからタダにしろ」など乱暴な取引も減っていくでしょうね。
安値だけを追い求めて、悪質なプロパンガス事業者と取引してしまっても、その責任は、そのプロパンガス事業者を選んだ一般消費者が負います。
事業者数が減り、薄利の競争環境となれば企業間のアライアンスが増えるでしょう。プロパンガス販売に供給責任は無いため、悪質業者からの乗り換えだと、防衛的アライアンス先であったりトラブルを嫌って新規取引を断る事業者も増えるでしょう。プロパンガス事業者の減少は、ガス料金の低価格化が進む反面、一般消費者の誤った選択を回復する手段も減るのです。
一般消費者が、見せ掛けではなく本質を見抜く目を養っていかなければなりません