プロパンガスの適正価格を考える⑤

【実売価格、他社ガス料金の値取り調査】
平均価格や他燃料の価格決定方法が分かってきたところで、実際の販売価格を検証してみたいと思います。
弊社では、一般消費者にご協力を求め、他社ガス検針票に基づくガス料金の情報提供をお願いしています。その値取り調査結果を何ら弊社が手を加えることなく、サンプル料金として公開しています。
少しずつ蓄積したデータを比較すると、プロパンガス販売の不公正感が如実に表れるようになりました。
プロパンガス業界では、顧客の他社乗り換えを否定的に捉える向きがあり、「悪質な勧誘にご注意!」とネガティブキャンペーンを長く続けてきました。
その結果だと思いますが、弊社がガス料金の情報提供をお願いしても長期契約者ほど断られます。結果的に他社に乗り換えたばかりの方など、交渉上手な方のご協力に偏ってしまう傾向があります。実際、値取り調査結果にかなりの割合で最低値より安いガス料金が確認されていますが、石油情報センターの調査結果に反映されていない事が、偏りを裏付けてしまっています。

安値の情報に注目すると、そのプロパンガス事業者の他の顧客との価格差は驚くものです。
一般消費者が、同じプロパンガス事業者から購入しているのに自分より安い価格でプロパンガスが販売されている事実を知ったら、余り気分の良い話ではないでしょう。安い価格で購入している側は嬉しい限りですが、高い価格で売られている側は腹立たしいことこの上ない筈です。
勿論、価格だけではなく、そのプロパンガス事業者を応援する意味で、寧ろ高い価格で支払いたいとお考えのお客様もいらっしゃるでしょう。実際、弊社のアンケート調査では、15%の方がプロパンガスの適正価格を従量単価1㎥=400円以上と回答しています。
しかし、特別な条件も無く1.5倍以上の価格差が生じることは、流石におかしいと感じると思います。
都市ガスや簡易ガスを持つ若しくは決算連結会社に持つプロパンガス事業者であれば、その都市ガスや簡易ガスよりも安い価格で販売している事実は、総括原価方式による許認可料金に疑義を生じさせるものであり、即刻、許認可料金を値下げ申請すべき問題です。
導管方式である都市ガスや簡易ガスより、個別配送のプロパンガスの方が安価で販売できるのであれば、プロパンガスの高コストの理由は、明らかに崩れます。
都市ガスよりプロパンガスの方が安く売れるのであれば、多くの都市ガス世帯で都市ガスが不要になるでしょう。
特別な事情もなく、驚くべき安価でプロパンガスが販売されている事実は、そのプロパンガス事業者の標準価格として「驚くべき安価」を設定できると、一般消費者に誤解を与えるものです。少なくとも同一価格に値下げを求められても拒絶する理由は、そのプロパンガス事業者には無いと言えます。
商売に於いて、売値を明らかにしていない商品は多数存在します。
しかし、プロパンガスは車の購入などと違い毎月継続して購入する商品です。生活必需品で購入をコントロールし難い商品でもあります。公共性の高い分野で価格が秘匿されているのは稀なのです。
公平性を欠き交渉上手の顧客だけが特をする現状は改善すべきでしょう。

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