【ネット上の適正価格って本当か?】
昨今、インターネット上にプロパンガスの料金診断や他社への乗り換え斡旋サイトが多数出来ました。「プロパンガス ガス料金」で検索すると検索上位の殆どはこれらの会社が独占します。広告欄にもガス会社ではなく、これら斡旋会社が掲載されます。
これらのサイトの特徴は、独自の適正価格を打ち出していながら、引き受けるプロパンガス事業者の会社名が公開されていないことです。
では、この適正価格は本当でしょうか?
どの斡旋サイトも①既存のプロパンガス事業者の非難、②プロパンガスは高い、③「乗り換えれば」安くなる、の3点を前面に押し出した掲載です。
しかし、比較対象となっているサイト独自の適正価格は、積算根拠が何処にも書かれていません。ただの1社もです。
適正価格を謳いながらその適正理由が全く掲載されていないのですから、これって本当?と感じてしまうと思います。
では、全くの嘘なのかと言えばその様な事はなく、掲載価格での販売実績は存在し、引き受けプロパンガス事業者は掲載価格で販売しています。
ただ、これが本当に適正価格かは別な問題です。
石油情報センターの偶数月調査には、最低値・最高値・平均値の記載が有りますが、斡旋サイトの適正価格に準ずる若しくは近い価格の掲載を全く確認出来ません。20,000社中3,000社の調査結果ですから、少なくとも数十社は、斡旋先のプロパンガス事業者が調査対象に入っているはずです。にも拘わらず、類似料金が確認出来ないということは、紹介先のプロパンガス事業者の「最多価格帯」ではない証左です。
斡旋先のプロパンガス事業者を事前に明らかに出来ないのも「通常価格」ではないことを裏付けます。
結局、これらのサイトの適正価格は、掲載サイトの斡旋価格であって「通常価格」ではないと言えます。飽くまで「特別価格」であって、適正価格とは全く趣旨を異にするものでしょう。
仮に「適正価格=通常価格」を否定したら、それこそ差別価格が常習化しているプロパンガス事業者と認めることになるので、とても「優良ガス会社を紹介」とは言えません。
公正なガス料金の比較サイトであれば、適正価格などと価格誘導はしません。価格.comさんで他の商品を価格検索した場合、販売価格の順位が一覧されるだけで、価格誘導されることはないですよね。
余談になりますが、飽くまで乗り換えが目的なので、価格の維持も不透明です。これらのサイトが出始めたのが10年くらい前だと思いますが、少なくとも数万人は、掲載の適正価格で斡旋を受けているはずです。しかし、石油情報センターの調査結果に表れず「最多価格帯」とならないのは、契約後に価格が変更されているためとしか考えられないでしょう。数万件と言えば、大手のプロパンガス事業者と変わらない事業規模ですから、斡旋を受けているプロパンガス事業者の「最多価格帯」にならない訳がないのです。
※例えば20㎥の場合、基本料金1,500円、従量単価270円~310円(各サイトによって異なる)とされていますが、310円:8,316円、300円:8,100円、290円:7,884円、280円:7,668円、270円:7,452円、と各数値を最低値で何れも確認出来ませんでした。2016年4月調査でこれらの数値を下回ったのは、湘南7,776円(基本料金1,600円、従量単価280円と推認。湘南地区の神奈川県LPガス協会員107事業者全てに確認するも存在を確認出来ず。)のみです。
誤解頂きたくないのは、これらの比較サイトを否定している訳ではありません。寧ろ顧客の流動性が高まることは、適度に緊張感を生み、プロパンガス販売の放漫経営を防ぎます。
売り込み営業を外部委託することは、他業種でも決して珍しいことではなく、何ら悪いことでもありません。
安い安いの大合唱も営業上仕方無いでしょう。弊社でも売り込み営業に行く時は、「お安くさせて頂きますので、是非お願いします!」と言いますから、人のことは言えません。