プロパンガスの適正価格を考える③

【他燃料との比較、電気・都市ガスと比べて】
プロパンガスの競合燃料である電気や都市ガスは、どの様に価格が決まっているでのしょう?
電気は、2016年4月から家庭用電力が自由化されましたので、各社自由に電気料金を決定しています。勿論、基準となるのは、競争相手である主要電力10社です。J:COM 電力の様に「東京電力の価格から1%割引」など、そもそも原価計算を放棄している会社まで出てきました。
電力の価格決定方法は、東京電力のホームページにも記載が有りますが( http://www.tepco.co.jp/e-rates/individual/basic/system/index-j.html )、簡単に言うと、発電原料や運営費などの原価に配当などの利益を乗せた金額を有識者会議の意見を踏まえて決めています。
都市ガスは、もう少し明瞭に一般ガス供給約款(東京地区)に明記されています。東京ガスの場合、基準原料価格が82,470円/tの時、最も一般的な料金表B(20~80㎥)で基本料金1,026円、従量単価151.74円とされ、基準原料価格との差額が計算式により原料調整されています。LNG1t≒1,220㎥で計算されますから、LNG1㎥=67.6円の原料価格の時、従量単価1㎥=151.74円で販売されると言うことになります。約10%の熱量調整のコストを踏まえても利益率50%程で販売されていることになります。

具体的な数字で比較すると、
東京電力の従量電灯B・C第2段階料金1kwh=25円91銭は、プロパンガスの従量単価に換算すると、1㎥≒660円に相当します。2016年5月燃料費調整1kwh=-3.28円を反映させるとプロパン換算1㎥≒576円となります。
東京ガスの2016年5月検針分一般料金B表121.95円は、プロパンガスの従量単価に換算すると、1㎥≒248円に相当します。都市ガスは、毎月原料調整されていますので、電気の燃料費調整のようなものはありません。
この様に燃料を電力に置換する電気は、価格面でとても高価なエネルギーですが、インバーターやヒートポンプ効果により、省エネ設計がし易く、比較的安価で機器の消費効率を高めることが出来ます。例えば、給湯設備で比較すると、電気のエコキュート(ヒートポンプ)は、ガスのエコジョーズ(廃熱利用)より30~50%ほど熱効率が良いため、同量の湯量を作り出す為のエネルギー量は、ガスの約60%程度で済みます。ただ、実際の電気料金に換算してしまうと深夜帯料金を併用しても単価の高さを吸収できず、貯湯槽の未使用ロスも生じるため、都市ガスより2割程度高い支払いとなります。再エネ付加金1kwh=2.25円も踏まえると3割以上の価格差になります。(平氏28年3月以前の料金プランでは、深夜帯が1kwh=12.16円であるため、価格差は小さくなります。)

都市ガスとプロパンガスを比較するとどうでしょう?
成分や性質の違いはあれ、家庭用使用では、単に必要消費量(熱量)の違いしかありません。プロパンガス1㎥と都市ガス2.2㎥が同等との違いです。
東京ガスの2016年5月検針分一般料金B表121.95円は、プロパン換算1㎥≒248円に相当しますが、毎月の変動制ですから、原油価格下落前の2013年頃は、従量単価150円ほどでプロパン換算1㎥=300円くらいでした。
東京ガスの都市ガス価格は、プロパンの地域平均価格と比べると約半額ですが、都市ガスの供給原価をプロパンに当てはめた場合どうなるでしょう?
2016年5月サウジCP325㌦、4月TTS111.27円、4月フレート4,300円/t、石油石炭税1,860円/tですから、輸入原料価格となる88円/㎥に東京ガスの供給原価185円㎥を上乗せすると、従量単価1㎥=273円となります。
ただ、実際に東京ガスのプロパンガス子会社は、この価格帯で通常販売できていません。プロパンガスは、地域独占ではないため販売顧客が分散し、業務の効率性が大きく落ちます。人の手でガスボンベを運ぶため、導管供給より託送コストも高くなると言われています。東京ガスのプロパン子会社が、都市ガスと同様にガス料金やコスト内訳を公表してくれればもっと正確な比較が出来るのですが、なぜか非公開としているためこの辺りが検証の限界です。

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