弊社が代理店契約をする電力会社が決まりました。
東京電力様との二次代理店契約となります。
ロゴ使用などの問題も有り、詳細なセット割りプランの発表は、今暫くお待ち下さい。
今回で3回目となる「電力とのセット販売を考える」ですが、お客様の殆どが見落とす点に注目したいと思います。
「燃料費調整制度」をご存じでしょうか?
電力会社が、「火力燃料(原油・LNG〔液化天然ガス〕・石炭)の価格変動を電気料金に迅速に反映させるため、その変動に応じて、毎月自動的に電気料金を調整する制度」とされています。
ポイントは、火力発電に限っており、且つ「貿易統計」を反映させる点です。
即ち、原子力発電が稼働してもそのローコスト(トータルコストが高いとの議論は棚上げします。)が反映されず、しかも仕入価格ではなく貿易統計に基づきます。
ですから、原発比率が上がろうと全く関係なく賦課されることになるので、実際の原料費が下がっていても賦課されます。
商社が輸入する火力燃料で最も安価な部分は主要電力会社に回されていますが、割高な一般消費用の輸入も平均した貿易統計が反映されるので、その分電力会社の利ザヤが増える訳です。
航空会社や我々ガス会社の「原料調整制度」とは、似て非なるものであることが分かるでしょうか?
燃料費高騰を賦課する目的と言いつつ、実際は利ザヤ稼ぎをしていることになります。
しかし、現在は原油価格暴落中ですから、少し話が変わってきます。
WTI(正式名称WestTexasIntermediate:テキサス州西部とニューメキシコ州南東部で産出する低硫黄の軽質原油のこと。一般にはニューヨーク原油先物の略称。)も40㌦近くまで回復してきたとは言え、まだまだ開発費を考えれば激安水準です。燃料費調整制度では、マイナス反映されます。
関東のメジャープレーヤーでは、東京電力、東京ガス、イーレックスの3社だけが明確に燃料費調整制度を反映させると公表していますが、その他の電力会社は触れていません(ENEOSでんきは、金額を明示せずに燃料費調整することのみを公表しています。)。
と言うことは、新電力会社と毎月1,000円安くなるつもりで契約したのに、平成28年4月の燃料費調整が-2.78円/kWhですから仮に450kwhだと-1,251円となり、それが反映されず逆に高くなる現象が極めて高い可能性で出てくることになります。
実際にスタートを切っていないため、平成28年5月にならなければ未だ正確な事は分かりませんが、一般消費者が気づき難い比較点です。
特に新電力会社は、電力を卸し買いして電力小売りする会社も多いため、そもそも火力発電を有しておらず「燃料費調整制度が無い」場合も多いですから、この逆転現象は杞憂とは言えないことになります。
原発に反対の意向を示すため、再生可能エネルギー指定の電力利用を割高と認識しつつ契約するのであれば全く問題ないですが、割引を受けられないと知らずに割高に買わされたのでは堪ったものではないでしょう。
電力とのセット販売を考える2 でも指摘している様に割引額に惑わされて、実は高いガス料金で買わされたり2年縛りで固定化される問題もあります。
折角の電気とガスのセット販売なのに、ガス同量の使用で「15,000円から1,000円引き」と「8,000円から500円」引きでは、同じ比較とは言えません。
プロパンガス標準価格だけでなく、全プロパンガス料金表の一般公開が求められています。
新聞報道によれば、平成28年2月時点でプロパンガス料金の公開(全料金ガス料金か標準料金かは問わず)をしているプロパン会社は、全国27社に増えているとのことですが、飽くまで「標準料金」でOKとの緩い基準ですから、偽りの標準料金が跋扈する結果が懸念されています。
表面的な割引だけでなく細部を注意しなければならない今回の電力小売り自由化は、まだまだ混乱がありそうです。