オール電化が安い!の間違い。

本日、オール電化にして光熱費が安くなると「勘違いさせられた」お客様から解約の申し出がありました。
電化販売事業者は、お客様が弊社に引き留められキャンセルされないよう工事前日に連絡してくる悪質っぷりです(しかも休日の土曜日)。
なかなか真実が伝わらないと凹んでしまう一日でした。
そこで、今回解約のお客様を事例にして、オール電化がプロパンガスより安くてお得の嘘を検討してみましょう。

件のお客様は、基本料金1,650円、従量単価300円(KD-2)、エコジョーズ設置、夏場使用量5.5㎥、冬場16㎥、昼間は留守、電気の平均使用量350kwh=9,887円 が基本情報とします。
買い取り価格は1kwh=35円、太陽光発電費用3.5kwタイプ150万円、エコキュート+IHクッキングヒーター50万円とします。
エコキュートは、給湯で300kwhほど1ヶ月に消費します。追い焚きは、75kwhほど消費している計算です。コンロは、70kwhほど消費している計算です(エネルギー効率:ガス56%、IHクッキングヒーター79%、東京ガス調べ。)。
では、電化上手の1ヶ月の電気代をシミュレーションしてみます。
給湯:300kwh×深夜帯単価12.16円=3,648円
追焚:75kwh×朝晩単価25.92円=1,944円
コンロ:70kwh×朝晩単価25.92円×エネルギー効率0.71=1,288円
通常使用の電気(昼間):70kwh×昼間単価31.64円=2,215円
通常使用の電気(朝晩):280kwh×朝晩単価25.92円=7,258円
電気基本料金:6kVA以下=1,296円
全電化住宅割引:18,175円×-5%=-909円
再生可能エネルギー発電促進賦課金(通常使用分):350kwh×1.58円=553円
再生可能エネルギー発電促進賦課金(ガス置換分):445kwh×1.58円=703円
合計17,996円

一方、現在の弊社プロパンガス使用の場合、
LPガス:平均使用量11.6㎥×プロパン単価300円+基本料1,650円+消費税410円=5,540円
電気代:350kwh=9,887円
合計15,427円

あれあれ?オール電化割引2,160円、ガス基本料を削減したのに高くなっちゃいましたね。
なぜでしょう?
従量電灯B・Cは高いと思われがちですが(実際高いのですけど・・)350kwh程度の電気使用では、電化上手にすると「120kwhまで19.43円」の安価を享受できず基本料金も上がってしまうため、オール電化の方が割高になります。
オール電化割引は、2,160円割り引かれると勘違いしがちですが、MAXの割引を受けるには43,200円も電気代を支払っていなければなりません。そんな一般家庭殆ど居ませんよね?
ガス基本料金の削減もその分電気使用量が増えるので、再エネ賦課金が増えてしまい効果が半減です。
深夜帯割引の単価1kwh=12.16円も他の時間帯の価格と比較して安く見えますが、プロパン従量単価300円だと1kwh=11.78円ですので同等に過ぎません。寧ろ、追い焚きやコンロ使用で1kwh=25.92円と単価が2倍以上になってしまいます。
何と言っても、エコキュートのヒートポンプ効果で一見使用量が少なくなる錯覚をしますが、エコキュートや電気温水器は毎日の給湯使用量に関係なく「タンク内全部を加熱」し、給湯料金を節約できない欠点があるため本件のお客様には不向きなシステムです。かと言って、タンクサイズをギリギリまで小さくするといざ使いたい時にお湯が足りなくなってしまいます。

更に本件では決定的に損をしている点があります。
そう、太陽光発電の買取金額です。
余剰電力を1kwh=35円で折角買ってくれるのですから、自家消費をプロパン従量単価300円の1kwh=11.78円で賄った方が断然お得なのです。
仮に200kwh売電し損なったとすると、200kwh×(売価35円-LP単価11.78)=4,644円 も損した事になります。

本件でもお客様に真実を伝えたかったのですが、工事日前日では説明のしようがありません。
恐らく月間300kwhほど売電出来ると思うので、毎月の電気代は7,000円くらいに下がるでしょう。
200万円もの投資のローンも合わせれば毎月の支払いは25,000円くらいになってしまいますが・・・。
不本意にお客様を失い、残念でならない次案でした。

2016.2.14修正
IHクッキングヒーターとガスコンロとの熱効率比を反映させました。
2016.3.19追記
3/18に再生可能エネルギー発電促進賦課金の改訂が発表されました。
現行の1kwh=1.58円から1kwh=2.25円への大幅値上げとなります。
太陽光自家消費を除き、また更にオール電化住宅への課税が拡大することになります。
オール電化割引より再エネ賦課金が上回りますので、逆に割高となることとなりました。

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