電力とのセット販売を考える 2

プロパン各社が電力参入を発表していますが、なかなか「セット割り引き」の全容が出てきません。
大手電力会社は勿論、石油会社や都市ガス会社の料金プランが出揃い始めているのに対し、プロパン系会社の料金プランはなかなか出てきません。
プロパン業界が抱える大きな問題点が関わっているのだと思われます。
電力自由化を絡めて考えてみましょう。

大手プロパン会社も平成28年1月に対応するガス料金プランを発表するとプレス発表していましたが、発表は延期されたようです。
ではなぜ延期されたのでしょうか?
弊社のことではないので、飽くまで外部からの勝手な考察の域を出ませんが、多くのプロパンガス会社がクリア出来ていない不透明なプロパンガス料金形態が原因であると考えられます。
弊社のお客様は十分にご理解頂いているかと思いますが、プロパンガスは自由価格であり、法律上の価格決定権がプロパンガス会社側にあります。
弊社の契約では、その価格決定権を契約によって制限・規制していますが、多くのプロパンガス会社ではその権利を手放していません。
同一プロパンガス会社の同条件の住宅でガス料金が異なるような極めて不透明な状態が未だ続いています。
お気づきになりましたか?
その様な中、電力とのセット割り引きを始めようとしても、元となるガス料金が不透明・不公平な訳ですから「本当にお得」になるとは限らない事になります。
具体的な数字で考えてみましょう。

使用量を電気料金 500kwh=15,000円、プロパンガス使用量20㎥とします。
検討例①
 T電力の代理店契約のAプロパン会社の場合・・
 プロパンガス料金:基本料金1,700円、従量単価500円、ガス料金20㎥=12,636円
 セット割り引きで5%off:ガス料金12,636円→12,004円 -632円
 新料金プランで電気料金500kwh=14,500円 -500円
 合計割引額 -1,132円
 セット割り後の支払額 26,504円
検討例②
 T電力の代理店契約のBプロパン会社の場合・・
 プロパンガス料金:基本料金1,500円、従量単価300円、ガス料金20㎥=8,100円
 セット割り引きで基本料金を300円off:ガス料金8,100円→7,776円 -324円
 新料金プラン電気料金500kwh=14,500円 -500円
 合計割引額 -824円
 セット割り後の支払額 22,276円
検討例③
 E電力の代理店契約のCプロパン会社の場合・・
 プロパンガス料金:基本料金2,000円、従量単価600円、ガス料金20㎥=15,120円
 セット割り引きで10%off:ガス料金15,120円→13,608円 -1,512円
 一律5%offで電気料金500kwh=14,275円 -725円(再エネ電気賦課金は割引にならないため)
 合計割引額 -2,237円
 セット割り後の支払額 27,883円
検討例④
 E電力の代理店契約の携帯会社Xの更に代理店Dプロパン会社の場合・・
 プロパンガス料金:基本料金1,000円、従量単価300円、ガス料金20㎥=7,560円
 セット割り引きで従量単価-30円:ガス料金7,560円→6,912円 -648円
 一律5%offで電気料金500kwh=14,275円 -725円(再エネ電気賦課金は割引にならないため)
 携帯料金300円off:携帯料金8,000円→7,700円 -300円
 合計割引額 -1,673円
 セット割り後の支払額 21,187円

もうお分かりかと思います。検討例③が最も割引が大きいですが、実際の支払額は検討例④が最も安くなります。
ここで更に問題になるのが、上記A~Dのプロパン会社が、実は同じプロパンガス会社だったとしたら・・検討例③で契約するなんてバカみたいですよね。
しかも、2年~(最長何年になるか不明)の「違約金有りで契約拘束」となるにも拘わらず、プロパンガス料金の価格決定権をプロパンガス会社が有します。
もし、検討例②で契約したのに、検討例①にガス料金を値上げされたら・・月額-4,228円のマイナスです。
仮に2年契約の半年後に値上げされ、契約満了まで1年半の間値上げを甘受したとすると・・合計76,104円も損をすることになります。
仮に違約金が30,000円だとしても解約した方が良いですが、損切りする決断は難しいでしょうね。

現在、原油価格の値下がりを受け、平成28年2月積みプロパンガスの輸入価格が近年の最安値となりました。
その様な中、ある大手プロパン会社は、基本料金の値上げに踏み切ったようです。
えっ今値上げ?! と思うでしょうが、事実のようです。
値上げ幅は様々で、基本料金1,200円→2,000円や基本料1,500円→2,000円の値上げ、従量単価1㎥=250円→300円や1㎥=350円→400円や従量単価570円据え置きと、どうも基本料金を一律に2,000円に引き直し、ある基準より低い従量単価を50円/㎥値上げしているようです。
このある大手プロパンガス会社が、「電力とセット割月々-500円」と言ったら・・どう思われますか?
この様な事が実際に行われている現状で、電力自由化とのコラボは、一般消費者を惑わすことになるでしょう。
電力とのセット販売の前にガス料金の公開と価格の統一が不可欠なのですが、そこは置き去りになっています。
仮に悪質な事例があったとしても、電気とガスのセット割り引きは、契約の別な単なる特約なので、行政の取り締まりは難しいでしょう。
経済産業省は、電力取引監視等委員会のガイドライン、エネ庁によるガス料金公表調査、料金透明化のワーキンググループ設置と正常な取引監視を強めていますが、プロパンガス取引は自由取引で届け出事業(※認可事業との対比)であるが故に、実行力・強制力のある施策に限界があります。
プロパン会社自身が自助努力によって改善するしかないのですが、全国20,000社中ガス料金の一般公開は20社程度の現状です。
結局、消費者が賢くなって「自己防衛」するしかありません。
電気とプロパンガスのセット割り引きには注意が必要ですので、早計に決断することはお勧めできません。
もっと十分に情報が出そろってからでも決して遅くはないです。

今後、特質な料金プランや条件設定が発表されましたら、更に追記させて頂きます。
また、現在、弊社ではガス料金の値下げを検討しています。
電力とのセット販売を絡めて行うかは不明ですが、値下げが確定しましたらお知らせします。

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